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木は割れて強くなる

木材には、心配があります。

例えば、割れが入ったり腐ったりしている木材を見かけることがあるからです。
もちろんコンクリートにもヒビが入り、鉄も錆びますが、
木材の方が不安になってしまいます。

こうした不安に対しては、実験で確かめてみる他はありません。
これまでに何度も実施された検証実験でも、
木材料面の干割れの量と強度の関係に相関があることは認められていません。

たとえば静岡県林業技術センター、池田潔彦氏の研究報告(2005年)があります。
杉無等級材の柱の基準強度を、柱に入った割れの大きさに対して調査しています。
割れの多さによって強度が低下している傾向は見えません。
木材は割れていても強度は落ちないのです。

ただし、材を貫通するような割れに関しては強度に関係するといわれています。
確かに柱が真っ二つに割れてしまっては、
誰がどう考えても強度が保てるとは思えないでしょう。

しかし、じつは木材は基本的に貫通割れを起こすようにはできていません。
樹木そのものに、貫通割れを起こさない生存戦略があるのです。

それは樹木が成長する時には、まっすぐ伸びるのではなく、
捩れるように生長しているのです。ヘチマやゴーヤなどの、
蔓系の植物が巻きついて育っているので一緒です。

切り株の年齢をどんなに観察しても、捻れていることはわかりません。
また、板状になった木目や柾目を見ても、やはり捻れていることはわからないでしょう。
しかし木材の繊維は、この捩れに沿って伸びています。
そして干割れを観察してみれば、やはり捩れに沿って割れていることがわかります。

つまり、柱にできる干割れはほとんどが斜めに入ります。そ
して反対側の干割れも同じ方向に入ると、表と裏では交差しているので、
単純な貫通割れが起きにくいようになります。
だから木材は、多少割れても強度が保てるようになっているのです。

こうした戦略がなければ、樹木も大きく生長することが出来ません。
ほんとうに大自然の設計は偉大です。

(おうちのはなし より) 

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